『ままならない』
黒いもにょもにょ(安久都智史・しのざきしの)
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いろいろとままならないふたりが、ずっと避けてきた心のふれたくない部分「黒いもにょもにょ」に、短歌と日記で近づこうとした半年間の記録。
“今日もまたあの子の大事なぬいぐるみの綿を掻き出すような一日”(安久都智史)
“自分を受け入れることは、どこか諦めに似ている。現実に抵抗や葛藤を抱えないという意味で”(しのざきしの)
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「ままならない」を辞書で引いてみると、「思い通りにならないこと」「思うようにできないこと」と載っていた。
あぁ、人生だなと思った。仏教に「一切皆苦」という言葉がある。ここでの「苦」は、思い通りにならないことを指す。すべては思い通りにならない。ままならないのが人生なのか。
そもそもこの本は、とろ火を開いている僕、安久都智史が、友人のしのさんに「一緒に本をつくりませんか」とお誘いをしたことからはじまった。
公私ともに文章を書いているふたり。古田徹也さんの『言葉の魂の哲学』という本を一緒に読んで語りあったとき、もっと魂がこもったことばを紡がねば、と熱を帯びた時間になったことを覚えている。
その修業として、しのさんと本をつくりたいと思った。
テーマは、ふたりのユニット?名にもなった「黒いもにょもにょ」。これは、嫉妬や悩みやしんどさなど、内側に黒く渦まく、でも触れたくない気持ちを指している。
本をつくる前から、しのさんとは、この黒もにょについてたくさん話してきた。互いに休職・離職経験があったり、人間関係や社会に対して違和感があったり。渦まいているたくさんの感情たちに、ふたりとも苛まれてきた。
触れたくない感情たちを、しっかり見つめてみたらどうなるんだろうか。この本には、そんな問いが流れている。
黒もにょに近づくために、僕たちは、「やりたいのに、見栄や怖さが邪魔をしてできていない表現方法」をとることにした。それが、僕にとっての短歌で、しのさんにとっての日記だった。
触れたくない感情に近づこうとした半年間。正直、しんどさは変わっていない。身体が動かないこともあれば、不安が暴走することもある。苦しいまま。それなのに、ほんの少しだけ、なにかが軽くなったような気もする。
なにが軽くなったのか、その正体はわからない。けれど、この本を読んでくださった方の内側でも、わずかだとしても、なにかが軽くなって欲しいと思っている。
こんなにボロボロでも生きてる人たちがいるんだな、と、感じてもらえたら幸いです。